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更新日:2025.03.18

宇宙航空システム専攻 小林健児教授「崇城大学での日々を振り返って」インタビュー

 この度、長年に渡り学科の教育研究に多大なるご尽力をいただきました小林健児教授が、令和7年3月末日に定年を迎え退官されることになりました。

小林健児教授

 これまでの崇城大学での日々を振り返って、思い出についてインタビューさせていただきました。

Q1.何年間、崇城大学にお勤めされましたか。
  10年間、崇城大学に勤めました。
その前は株式会社IHIで30年間ジェットエンジンやロケットエンジンの研究開発に従事していました。

Q2.熊本の町や大学の印象はいかがでした。
 東京に住んで株式会社IHIに勤めていた時は電車で1時間半の通勤でしたが、徒歩30分ほどで通勤できたので熊本の方が圧倒的に住みやすい。
食べ物が新鮮で美味しく、夏は阿蘇で冬は天草でゴルフを堪能しました。
ゴルフ料金が東京に比べて半額で、コースも広く、こんなに素晴らしい所は日本にはありません。
大学では、教員と職員のつながりが良く、交流を活発にするイベントが多く、和気あいあいの印象がありました。

Q3.主にどのような科目を担当し、研究をされてきましたか。
 学部では、実務経験を活かして航空推進工学でジェットエンジンを、宇宙システム工学でスペースプレーン用エンジンを教えていました。
さらに、大学院では、空力弾性学でフラッター振動を、気体力学特論で極超音速エンジンに関する熱空気力学を教えていました。
飛行機やスペースプレーンの推進装置として空気吸込式のジェットエンジンやラムロケットエンジンに関する研究を行っていました。
特にラムロケットエンジンの研究においては、ロケット燃料の大部分を占める液体酸素の代わりに、周辺の「空気」を活用できることで大幅な燃料削減が可能となるメリットが大きく、国際学会で研究成果を発表してきました。
また、水噴射式の多段ロケットを卒業研究で製作して、添付ビデオのように地上86mまで打ち上げることができました。

水噴射式の多段ロケット実験(動画)

Q4.これまでで印象深かった出来事や思い出はありますか。
 2件あります。
1件目は、学生と一緒にアメリカ視察研修したときに入国審査で起きた出来事です。
航空機の歴史や旅客機の製造方法を学ぶことを目的に2017年から3年間、30名ほどの学生と一緒にアメリカに行きました。
ある学生が機内食のパンを食べきれず手持ちバッグに入れたところ、入国審査で見つかり質問に答えきれず別室で日本語通訳を交えてさらに1時間ほど尋問を受けさせられました。
無事に尋問が終わり入国でき、最終日にはシアトルのボーイング社を視察し、非常に大きな敷地の中でB747やB787などの組立工場を見学。
市内観光やショッピングも楽しめ、何につけてもスケールが大きいアメリカを学生全員が満喫できました。

アメリカ視察研修

 2件目は、2019年3月ネパールのトリブバン大学を訪問し、博士生にラムロケットエンジンの研究内容を90分に亘って紹介したことです。
質疑応答のときネパール人の英語が非常に聞き取りづらく最後は紙に質問を書いてもらって何とか対応できました。
ヒマラヤ山脈が眺望できる風光明媚な国であり、小さな町でドーナッツと紅茶の朝食をとったが、金額がわずか15円だったのに非常に驚きました。

ネパールのトリブバン大学を訪問

Q5.退職後のご予定は。
 非常勤講師として後期に航空推進工学の授業を行います。
また、高校から30歳すぎまで野球をやっていたので、福岡に転居して学生に野球を指導する予定です。
現在患っている座骨神経痛を治すためにヨガストレッチも始めたいと考えてます。

Q6.最後に学生さんへメッセージをお願いします。
 大学での学びに加え、多くの本を読んで語彙を増やす努力をしてください。
さらに、決してあきらめず、失敗を恐れず多くのことにチャレンジしてください。
この若いうちの読書やチャレンジが40歳を過ぎたころに素晴らしい実りを結ぶと思います。
添付の武将像ですが、これは徳川家康が30歳のころのものです。
25歳で戦国大名となった血気盛んのころ、 “三方ヶ原の戦い”で最強の武田信玄に対して屈辱的な大敗を喫してます。
馬で浜松城まで逃げ帰れたのですが、追っかけて来る武田軍団の恐怖から馬上で大便をもらしたという恥ずかしい出来事を猛省し、自分を戒める意味で“しかみ像”を描かせ座右に置いたという逸話があります。
この大失敗を真摯に振り返ることで最終的に天下統一まで成し遂げてます。
世界はこれからも大きく変化していくと思います。
変化に恐れず、多くのことにチャレンジして常に学び続ける心構えを持ち続けてください。

徳川家康の“しかみ像”

 長きにわたり教育研究に携わり、多くのご功績を残されたことに敬意を表すとともに、宇宙航空システム工学科一同、深く感謝申し上げます。
今後も、健康にご留意の上、益々ご活躍されることを心よりお祈り申し上げます。

 なお、今後も「航空推進工学」の集中講義のため大学に来ていただけることになっておりますので、引き続き、学生さんのご指導をよろしくお願い申し上げます。